Tスクエアに成長をもたらす1点

※「成長をもたらす1点」はAkane Nishimura独自の解釈です。

Tスクエアとは?

※この記事は2017年に作成したものを、2023年に加筆修正しました。
「Tスクエアの欠けた1点」という表現を「Tスクエアを成長させる1点」という表現へ変更しました。

Tスクエアとは、2つのスクエア(90度)と1つのオポジション(180度)によって形成される複合アスペクトです。

Tスクエアは、一般的には葛藤を表すとか、緊張を表すとか、自己矛盾を表すとか、主に「試練的な意味」「葛藤とそれによる自己成長をもたらす意味」で様々な読み方ができるアスペクトです。
この3点を反復横跳びならぬ三角横跳びのように「どれも鍛える」という配置なんですね。

このアスペクトを持っている人は「自分ツッコミ」が得意で、自分の中で常に「ツッコミ」が起きている状態です。90度というのは、人生の初期の段階ではそのサインの欠点がお互いに目につきやすい関係なのです。それが葛藤や自己矛盾になります。成長に従って、90度同士のサインが持つ性質やそれぞれの価値観を自分自身で「どちらも尊重できる、どちらの良い面も認めることができる」ようになれば、このコンビはとても強力なタッグになります。

Tスクエアの場合、何かやろうとすると、初期の段階ではこの3点がお互いにツッコミあって「イライラ」するんですね。ですがこれは自分自身の欠点を自分自身で「ツッコミ」することによって、その天体を能動的に鍛えていくことができる、という配置になります。
また、90度はエネルギー的に「火星に似たエネルギー」ですので、それが組み合わさっているTスクエアはそれらの天体やサインにおける活動を「活動的」にする配置です。「バリバリ仕事する人」とか「色々なことに活動的な人」はTスクエアを持っているパターンが多いですね。

グランドクロス

ここで、ひとつご紹介したい複合アスペクトがあります。「グランドクロス」という「スクエアが4つ、オポジションが2つで形成される正方形の複合アスペクト」です。これは90度同士の4点(同じクオリティのチーム)がお互いにツッコミ合うという、Tスクエアよりも「緊張」や「自己矛盾」を感じやすいアスペクトであり、四方の点で囲まれているために本人が「動きにくさ」を感じやすくなり、精神的にハードになりやすいという傾向があります。逆に、かなりエネルギーを自己完結的に使わなければならないんですね。その分テーマが明確で、4つの性質を自己受容していくとかなり大きな成長をもたらすアスペクトでもあります。グランドクロスのエネルギーをフルで使えると、創造性や世界観の構築がものすごいパワーになります。

Tスクエアは「ハングリー精神」を生む

Tスクエアはこの「グランドクロス」から「1点欠けた状態」と捉えると、その性質が非常に分かりやすくなります。「完璧に欠点を補う、お互いを的確にツッコミするためには1点が欠けている」「自分には何かが足りない」という「欠乏感」が強い「ハングリー精神」に繋がるんですね。その欠けた一点のサインを「足りない」と認識するために「積極的に実践して補おう」という意識になるんです。そして、4点から1点欠けている”3点”だからこそ本人が「八方ふさがり」を感じることなく「動きやすい」という特徴もあります。これは数秘の3と4の性質を対応させれば分かりやすくなります。3がTスクエア、4がグランドクロスということになります。
Tスクエアを持っている方はいつも「自分に足りないものを実践して補おう」と動いているので、アグレッシブで行動派の方がとても多いのです。ハングリー精神を原動力にしてエネルギーを自己成長のために使っているんですね。そしてこれが「才能」となって身に付いていくわけです。

また、欠乏感をモチベーションに活動するには、ある段階で限界が来ます。「欠乏感」は宇宙の本質とは一致しない感覚だからです。欠乏感をモチベーションにしている限り、やってもやっても満たされない、ということが起こります。「Tスクエアという自分の内側の性質」をそのままOKにできた時、「欠乏感」ではなく「ただ成長したい」という意識になれた時、「ありのままのい自分を愛せる」状態になれた時、Tスクエアを持っている人は本当の意味でギヴァーになれるのです。「90度」は特に「葛藤始まり」であることから「自己受容」という大きな成長をもたらしてくれる角度です。(特に土星や冥王星が絡む場合)

 

Tスクエアを「成長させる1点」

上の図のオレンジの点が「成長をもたらす1点」です。
Tスクエアの頂点の天体とピッタリ対向(180度)のポイントです。
Tスクエアをネイタルチャートに持っている方は、是非「Tスクエアを成長させる1点はどこか」を確認してみてください。
そのサインやハウス(プレセッション式)はまさに「自分に足りないもの」として強く自覚されている部分だと思います。
そして、それはもしかするとすでに意識的に補って実践しているテーマかもしれません。

大事なのは「自分でそこを無理矢理克服したり補おうとするのではなく、まずは”そこができない自分、苦手な自分を認める、それでよしとする”」こと。

そして、その1点を放棄するのではなく、苦手意識を自分が”ラク”になるように克服していくこと。

その1点は、あなたのTスクエアの頂点の対向、つまり「リーダー(頂点)の活動や成長を客観的にサポートしてくれる部分」なんです。

「成長させる1点」を”自分だけで頑張ってやろうとする”のではなく、その1点が示すものが得意な他者に助言や援助をもらったり、サポートしてもらうことでTスクエアがぐんと成長でき、Tスクエアそのものの自己受容が進みます。

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以下過去の記事です。

2016~2017年活動宮のTスクエア

2017年6月現在、木星の逆行により「活動宮のTスクエア」は崩れてはいるのですが、事実上はTスクエアのような「影響」がずっと続いていると捉えていいと思います。山羊座を運行中の冥王星も、牡羊座を運行中の天王星も、運行にかなりの年数をかける天体であり、木星も1つのサインの運行に約1年半をかけますから、このTスクエアは非常にヘビーにそのテーマを投げかけ続けているんです。
そして、そのTスクエアを成長させる1点である「蟹座」のテーマが年単位でフォーカスされるんですね。
2017年、正確には2016年木星が天秤座入りした頃から、「蟹座的テーマ(子供、感情、家族、家庭、地域、小さなコミュニティの絆など)」が世間的にかなりフォーカスされていることは、映画やドラマや漫画などのエンターテイメントに見られる傾向でも確認することができますし、「心の健康」についてかなり多くの人の意識が注がれている印象です。「自分の家を快適な環境にすること」を意識的にしてきた人もいるのではないでしょうか。また、インナーチャイルドといった「幼少期の家族との関係が心に及ぼす影響」ということの認識がかなり広がったという印象もあります。セッションにおいても、実際そのような相談内容が明らかに増えました。そして私自身もホロスコープを研究する上で「月」にかなり注目しそのようなテーマに強く意識が向いています。世間全体が意識的に、そして積極的に蟹座を補おうとして「蟹座的テーマを実践している」んですね
つまりトランジットで牡羊座、天秤座、山羊座のTスクエアが形成される今、誰もが「蟹座」を意識的に補うことで、そしてお互いにサポートしあうことで「自分が活動しやすくなる」という配置であると言えるのです。そして誰もが「蟹座の能力を意識的に身につけていく」時でもあるんですね。

では、具体的に”成長をもたらす一点”のサインのどんな要素を補えばいいのか?どんなことを実践すればいいのか?そこにどんな才能が隠されているのか?を見たい場合は、どうすればいいのでしょうか。
その答えはTスクエアの頂点にある天体の度数が握っています。

「成長させる1点」の度数を読む


図の緑の点がTスクエアの頂点です。
頂点にある天体の度数が牡羊座0.23度ならプラス1度でその対向サインの天秤座1度、16.34度ならプラス1度で対向サインの17度、というように、「完全にオポジションの関係になる度数」がピンポイントな「成長させる1点」となります。
まずは、その1点のサインとハウス(プレセッション式)から、大まかまテーマを読み取ります。
そして度数が分かったら、「サビアン」を読むことで、かなり具体的に「テーマ」を把握することができます。もちろん、そのドデカテモリーのサインを把握しておくことも「意識・実践」する上で大いに役立つでしょう。

Tスクエアを成長させる1点の「サインと度数、ハウス(プレセッション式)、サビアン」を見ると、「その人が常に実践しようとしていることだ」「成長・拡大の突破口だ」ということが顕著に分かりますし、「その人がそれを実践することで活動範囲や能力が格段にアップする」「Tスクエアの3天体がフルに活用される」ポイントであることも良く分かります。

 

イチロー選手のTスクエアで見る
「Tスクエアを成長させる1点=才能」

例えばTスクエアを持つ有名人にアスリートのイチロー選手がいます。Tスクエアというアスペクトがそもそも90度2つを活性化させる火星エネルギー祭りのような複合アスペクトなので「アスリート」っぽいんですよね。(自分で行動、チャレンジ、葛藤や失敗も体験しながらどんどん成長していく)
イチロー選手のTスクエアの頂点は水瓶座の木星、度数は4度です。まずここで「成長させる1点」がその対向サインの「獅子座」であることが分かりますが、彼の試合でのパフォーマンス、個性を魅力的にアピールし「自己表現」する能力が獅子座をそのまま示していますね。イチロー選手が打席に入った時に必ずする「あのポーズ」も、まさに獅子座のパフォーマンス性と「誰もがイチローだと認識する」個性を持っています。そして、イチロー選手が守備でアクロバットに打球をキャッチすると、観客は声を上げて喜びます。彼の送球に「レーザービーム」という個性をあらわすネーミングが付けられたことも非常に獅子座的エピソードです。イチロー選手が持つ唯一無二の個性、スター性はまさにこの「成長させる1点」である獅子座を意識的に成長の糧にした結果手にした才能や魅力であるいえます。
そしてその度数を見ると獅子座4度であり「正装した男と角を刈られた鹿」というサビアン。ドデカテモリーは乙女座です。上昇志向や承認欲求の強さ、アピール力の強さ、自信や誇り高さ、自分自身でモチベーションを上げる方法を身につけることなどをテーマとする度数です。イチロー選手が野球選手としてのパフォーマンスを保つために「必ずやること」ルーティンを沢山もっていることは有名です(これは彼の月が乙女座であることも関係しています)。必ずやる「あのポーズ」もそうですね。そして決してワンマンになることなく自分の「整えられた、完成された」専門的能力でチームに必ず貢献するんですね。乙女座的です。この獅子座4度という度数を詳しく見ることで、この「成長させる1点」が「非常に意識的に実践して補われている」ためにまさにイチロー選手の能力そのものとなっていることが分かります。
イチロー選手のTスクエアは太陽天王星の合・火星・木星という「ライツ・個人天体・社会天体・外部天体」で形成されており、火星も含まれていますので、ここまで精力的に取り組まれ、顕著にその「1点の能力」で成長させることができているんですね。Tスクエアに太陽が含まれていると、Tスクエアを成長させる1点も「人生の目的そのもの」の一部として働きますから、かなり重要になってきます。

「プレセッション式のアングル」も「小惑星キロン」もTスクエアを成長させる1点となる

このネイタルチャート上のTスクエアは、プレセッション式のアングル(ASC・IC・DC・MC)もその1点としてカウントします。例えばプレセッション式でASC双子座17度の人が、乙女座の15度に金星を、射手座の18度に火星を持っている場合、そこにはTスクエアが完成することになります。この場合欠けた1点は魚座の15度ということになります。そして、小惑星のキロンもTスクエアの1点として立派に作用します。

この「成長させる一点」はその人がTスクエアを使う上でかなり重要な役割を握っていますし、本人が「自分に足りない要素」だと大いに自覚するサインです。無意識に補おうと行動していることが多いのです。
Tスクエアに隠された才能とは「”もっとできるようになりたい”と積極的に実践していくことでさらに身に付いて成長させていく才能」なのだということを忘れてはなりません。積極的に実践することを止めてしまうととたんにTスクエアが迷いはじめて「塞ぎ込んで」しまうんですね。
ネイタルチャートにTスクエアを持っている人は、成長させる1点のサインの度数とサビアンを理解し、意識的に補い、実践することで、Tスクエアの3天体が格段に使いやすく、鍛えやすくなるでしょう。そして「成長させる1点」は大きな「才能」として身に付いていき、拡大のターニングポイントとなってくれるでしょう。