サイト開設1周年「プレセッションアストロロジーは地動説」

少し過ぎてしまいましたが、5月をもってプレセッションアストロロジーのサイト開設から1年が経ちました。

アクセスしてくださる皆様、鑑定のご依頼をくださる皆様、記事を読んでくださる皆様、いつもTwitterを見て下さっている皆様に、感謝申し上げます。

今回は、この1年目という節目の場を借りて、私がプレセッションアストロロジー発案から活動してきた中で日々感じていることを綴りたいと思います。

よくされる質問があります。それは「どうやってプレセッションアストロロジーを発見したんですか?」というものです。
プレセッションアストロロジーの発見は非常に短期集中的なひらめきと直感によるもので、あまり長く語るような経緯はありませんが、その短期間の間に、発熱するほど脳を酷使したことは間違いありません。今回は割愛させていただきますが、私の中に「占星術の真実を知りたい」という強い思いはずっと持ち続けていました。自分自身のホロスコープを含め、従来のホロスコープに疑問と違和感を多く感じていたからです。特にハウスへの”意味が曖昧でハッキリしない”という違和感はとても大きかったのです。そして、プレセッションアストロロジーの発見は私のホロスコープにトランジットの天体がどうヒットしていたかを見ると(もちろんプレセッション式で見ます)納得がいく経緯である、というなんとも面白い話にもなるのです。私はこの体験によって「天体が人間や地球全体に大きく影響を及ぼしている」ということを改めて強く実感することになりました。そして、「占星術は”オカルト”ではない、事実として認識されるべき天文学であり、科学だ」という確信も得たのです。

「プレセッションアストロロジー」という名前を付けたものの、私はこの方法によって導き出されるホロスコープこそが「本来のホロスコープの姿である」という確信があります。「全く新しいやり方」なのではなく、これが「本来のやり方」なのだということです。

ありがたいことにTwitterのフォロワー数も徐々に増え、「プレセッションアストロロジー」に興味を抱いてくれる方が少しずつ増えているという実感があります。そして、実際に完全にプレセッションアストロロジーのホロスコープに切り替え、プレセッション式でトランジットなどを読んでくれている方もいらっしゃいます。プレセッション式が「合っている」かどうかは、ご本人の実感と「実際に起きた出来事とその時期」によって証明されますし、それらはトランジットを読むことでさらに確信することができます。また、他者との相性によっても証明することができます。アングルやハウスは、非常に重要な役割を果たしており、従来のホロスコープでの解読のように抽象的でも無視されるべきものでもないのです。ASCがなんとなくの見た目の雰囲気であるとか、ハウスに重要な意味はないであるとか…このような間違った認識が広がっていることは非常に残念なことであり、占星術を作り上げた古代の人々への侮辱であるとも感じます。

私はプレセッションアストロロジーの鑑定や活動をしていく中でまるで天動説の時代に地動説を唱えている人のような気分だなと思うことが多々あります。

今現在では、ある一部の民族などを除けば、天動説を信じている人はほとんどいませんね。地動説が当たり前になっているからです。そして「地球を中心に宇宙が回っているのではなく、地球自体が自転して太陽の周りを回っているのである」ということは、実際に証明されている「事実」です。つまり、天動説の時代の人々は「本当のことを知らなかった、架空のものを信じていた」のですね。そうです。これは占星術においても同じことが言えます。従来のホロスコープのアングルやハウスに縛られている人は天動説をまだ信じているようなものなのです。

多くの人が「当たり前」だと思っていることが大きく覆される時、はじめは誰もが疑いも持ちますし、なかなかその常識は覆るものではありません。従来のホロスコープのアングルとハウスを信じている人は、天動説を信じている人。プレセッション式に切り替えることができる人は、地動説に切り替えることができる人です。プレセッション式に興味はありつつも、なかなか従来のアングルやハウスから離れられない人は、地動説が気になりつつも天動説から離れられない、自分自身の常識を覆すことができない人です。まさにそのままだと感じるのです。そして、現在地動説が当たり前の常識になっているように、時を経て「プレセッション式」が「当たり前」になる時がいずれ来るのだろうという確信もあります。

「実際の星座の位置を無視している(地球の歳差運動を無視している)」従来のホロスコープは、まさに天動説の時代のまま取り残された「天動説のホロスコープ」であるとも言えます。つまり、「架空のASCやハウスを見ている」のであり「それを信じても意味がない」のです。(天体のサインと度数、アスペクトに関してはプレセッション式と変わらないため、意味はあります。)

例えば本当はASCが獅子座である人(プレセッション式でASC獅子座の人)が、「従来のホロスコープ」を見て、「私はASCが乙女座だ」と認識して縛られることほど無意味で、危険なことはありません。それはASCが他のどのサインであろうと同じことが言えます。MCやハウスにおいても同様です。その人に全く存在しない要素を「自分を構成する要素」として認識してしまうのです。それらは実際には「存在しない架空のアングル」であり、全く意味がありません。自己肯定力が低い人ほど、生きる意味や自分の意思を見失ってしまっている人ほど、この「偽りのASCやMC」に支配されてしまうこともよく見かける光景です。

例えば、プレセッション式においてASC蠍座である人が従来のホロスコープで射手座である場合「私はASC射手座で、明るくて元気で細かいことは気にしない、何にも縛られず哲学する放浪者」と思い込み、自分自身の「ASC蠍座」の性質をすっかり無視して、目をそらしてしまうパターンをよく見かけます。正確には、従来のホロスコープを見て「私はASC射手座だ」と思い込んでしまうことで、本来のASC蠍座の性質を抑え込み抑圧してしまうことになるんですね。これは占星術界隈では非常によく見かけるパターンです。実際にはその人はTwitterでマニアックな人たちと交流したり、世の中や自分自身の”隠された””裏”の側面に魅力を感じ、いわゆるアングラ的でオタク的な活動をしていたり、占星術のようなマニアックな趣味やディープな世界に没頭していたりするのです。”一点集中型”なのです。明らかにASC蠍座なんですね。Twitter上で占星術を趣味としている人のプロフィールに「ASC射手座です」と書いてあることが多いのですが、これらの傾向から、その人たちは「ASC蠍座」である可能性がほぼ100%であると言えるのです。これは、その人の言動(ASCはむしろその人のTwitterのアイコンそのものである事もあります)を見れば、ほぼ判断に容易いことです。
ASCは「その人そのもの」なのです。一生変えるこのできない、この世に生まれ落ちたその人自身の入れ物なのです。蠍座にとって、ディープな人付き合いとマニアックな世界に触れることは大きなテーマですし、そこで蠍座はその持ち味とエネルギーを存分に発揮することができるのです。「ディープで濃厚でなければ意味がない」のです。その「ASC蠍座」のディープで濃厚なエネルギーと独特なキャラクター性やカリスマ性が「ASC射手座」と思い込むことによって抑圧され無視されることのもったいなさといったらありません。当然、これによって本人も本来のパワーが発揮できず、悶々とするでしょう。もちろんこれはほんの一例で、趣味ではなく仕事に没頭するASC蠍座の方もいますし、マニアックな趣味を持たないASC蠍座の方もいらっしゃいます(そのような方はだいたい恋愛や仕事に没頭していたりします)が、やはり何かしらに”没頭”する傾向があることは間違いありません。射手座にも”没頭”する傾向はありますが、その没頭は短期集中型であり一瞬のことなので、長く続くこともなければ、”その世界に引きこもる”こともありません。サインの性質の違いを明白に認識しておくことで、ASCの認識もまた明白になります。

また面白いことに、鑑定依頼をくださる方々のホロスコープに非常に良く見られる特徴の共通点として「蠍座や冥王星が強く影響している」という点があります。ASC蠍座の方はもちろん、ASCの支配星に冥王星が合やハードアスペクトを形成していたり、1室に冥王星があったり、太陽や月に冥王星が合やハードアスペクトを形成していたり、冥王星がカルミネート天体またはアンギュラー天体であったりと、ほぼ100%このどれかの要素を持っていると言っても過言ではないくらいなのです。それほど、「蠍座」と「冥王星」の人にとって、占星術という「自分と自分の人生を隅々までマニアックに把握できる、自分の運命を把握できる」ツールは魅力的なのかもしれません。

これは特に日本での傾向だと思うのですが、男性星座に対して明るい、元気、積極的、ポジティプ、カラっとしている、というイメージを異常に強く持っている人が多くそれらに対する「憧れ」がとても強いという印象があります。男性星座の短所を全く無視しているとも言えますし、女性星座の長所に目が向きにくいとも言えます。これは、日本の「男は男らしく、女は女らしく」というそれぞれに内在する異性性を封印し切り離す傾向、そして未だに根付く「男尊女卑」の傾向から生まれている「憧れとイメージの極端化」だとも言えますし、日本の同調的な社会が個人が明るく、元気で、積極的で、ポジティブでカラッとしていることを許してくれない「個人を抑圧する」風潮があるからかもしれません。日本は、随所で「女性星座」が担当するような優しさ、気遣い、安定や安全を求める保守的な姿勢、協調性などが強く求められますね。強く求められすぎて、義務感を生み、女性星座の短所までもが強調され、そこに「嫌悪感」が生れてしまっていると言えます。バランスが悪いんですね。そして「男性星座」が担当するような能動的で積極的な要素は「自分勝手」や「ワガママ」「女性がしてはいけないもの」として抑圧され、さらに「憧れ」となってしまうように思います。

この星座の「世間的イメージ」と「固定概念」によって、それこそTweitterのプロフィールに「ASC射手座です」と積極的に書きたくなることはあっても、「ASC蠍座です」と積極的に書く気になれないという傾向も出てくるんですね。ASC射手座と書けば、そこには元気でサッパリしているという「世間的な」「極端化した」イメージが付いてきますから。そして「本当はASC蠍座だけど、ASC射手座の理想の自分を捨てたくない」という「執着」も生れてしまうんですね。このような偏った認識は何も良いものを生み出しませんし、その人はいつまでたっても「本当の自分」と向き合うことができないんですね。

男性星座にも、女性星座にも、それぞれに役割があり、長所と短所があり、「どちらが良い・優れている」とジャッジするようなものではありません。
ずっとアグレッシブに動いていたら、やがて疲れて休みたくなりますよね。もしその時、安らかに眠れる家とベッドがなければ、人の疲労は回復せず、心も死んでしまいます。「アグレッシブに動く」は男性星座、「安らかに眠れる家とベッド」は女性星座の担当です。このように男性星座と女性星座には役割があり、昼と夜のように相互に補い合う関係なのです。陰陽のバランスと同じことなのです。12星座を見た時、男性星座と女性星座が交互に並んでいることも、その相互のバランス関係を示していると言えます。実際には天体のアスペクトや入室ハウスなどによって「女性星座の太陽を持つ人がアグレッシブで活動的」であるパターンもあります。一概には言えないので、これはあくまで単純な例です。自分の中にある男性星座も、女性星座も、どちらも好きになれたら、そして長所も短所も平等に認識できたら、「自己肯定感」にも繋がりますし、それほど「強み」になることはないですね。

そしてもう一つ、「私はプレセッション式ではASCが牡羊座だけれども、従来のホロスコープではASCが牡牛座だ。だから牡羊座の要素も牡牛座の要素も持っている」と重複して捉えてしまう人もたまに見かけます。「今はトランジットの木星が私の1室か2室に入っている」などもそうです。これは「実際の地球と星座の関係」を思い出してもらえれば、非常におかしな捉え方であることが分かります。まず地球は1つしかなく、そして生まれたその人も世界にたった1人、同時にいくつも存在しません。(広大な宇宙の中にはもう1つの地球があるだとか、そのような話題はとりあえず置いておくとして)またASCの定義は「出生時に東の空に昇っている星座」ですが、「牡羊座と牡牛座が同時に同じ場所に昇っていることはあり得ない」のです。これは実際の夜空を観測すればすぐに分かることです。このような間違った認識は、インド占星術が「度数のずれ」を天体にまで全て適用してしまっていることで「西洋占星術だと太陽天秤座だが、インド占星術だと太陽乙女座になる」などの混乱した認識が広がりつつあるのが原因であるとも言えます。しかし、やはりそんなことは「あり得ない」のです。地球が所属する太陽系の太陽は、1つです。同時に2つの星座の性質を持つこは、あり得ないことなのです。

もちろん、「従来のホロスコープが自分に合っている」という人は従来のホロスコープを使用すればいいのであって、「プレセッション式のホロスコープが自分に合っている」という人はプレセッション式のホロスコープを使用すればいいのです。それは完全に個人の自由です。大事なのは「重複して使用・解釈しないこと」そして「どちらが自分に合っているか、自分の頭で考え、確かめ、判断する」ということです。「自分の頭で考え、判断する」ということができない人は日本にはとても多かったりするんですね。特に占星術などの”占い”に傾倒してしまっていて「主体性」を失ってしまっている人などはその傾向が強いです。

これらの「どちらに”実感”が持てるか?」「どちらのホロスコープが”合っている”のか?」を確かめるには、やはりプレセッション式のホロスコープにトランジットの天体を重ねて注意深く観察することが1番です。今、木星が私の1室か2室に入っているけれど、どちらだろうか?それを確かめる時、自分自身の意識や感覚の変化、そして生活や仕事や人間関係など周りの変化に注意深く意識を向けていれば、「1室だ!」と、確信することができるのです。この時、”自分自身の意思決定から行動を起こす”ことをしていない人は、なかなかこの感覚が掴めない場合があります。”天体を使えていない”からですね。
「自分の感覚と意思」をしっかり把握できるようになると、自然と「あれ、もしかして最近木星が自分の1室に入ったかな?」というように「自分主体」で天体のホロスコープ上の変化に気づくことができるようになります。これが少しずつできるようになると、本当に楽しいものです。逆に、「今、木星が1室だからこういうことが自分の身に起きているんだな」と「身をもって天体とハウスの”影響”を学ぶ」こともできます。プレセッション式を発見してからというもの、この「天体の影響を実感する」ことは日々あり、本当に驚いていますし、宇宙と人間は連動しているんだなと、その実感すら得ることができます。

ホロスコープは「自分を客観的に認識する」ためのツールとして、非常に優秀な役割を果たします。
それだけに、それを読み解く時には「自分は本当にこうかな?」といつでも慎重になってもらいたいのです。
「生きづらさ」を感じていて、「本当の自分を知りたい」と思った人がそのツールとして占星術を選んだ時、そこに示される資質をそのまま「これが私か」と呑み込む前に、そして「自分の欠点を無いことにできる、正当化に使える要素はないか」と血眼になって「自分の虚無を埋めてくれる”素晴らしい才能の幻想”」を探す前に、「実際の自分がどうであるか」をいつも顧みることを忘れないでいただきたいのです。

プレセッション式で鑑定していると、しっくりきました」「腑に落ちました」「これぞ私ですというような感想を多くいただきます。それは他の誰でもないご本人の実感によるもので、これ以上にプレセッション式の「証明」となるものはありません。
そして、「こういう仕事がしたいんです」「こんなことに挑戦してみたいんです」という意思がご本人にあった場合、それがその方のプレセッション式のホロスコープにおけるMCや10室そのものであったり、カルミネート天体や太陽そのものであったりと、全くその方のホロスコープと矛盾がないのです。

そうなのです。ホロスコープとは本来、本人と全く矛盾や相違点がないものなのです。

「自分自身を客観的に把握」できている人ほど、「自分の意思を明確に把握できている人」ほど、プレセッション式のホロスコープを見た時に「これが私だ」という確信に至るのが早いです。そして、自分の中に「今までと違うものが発掘された、芽生えてきた」時に、「自分はこうだと思い込んでいたが、本当は違うのだな、確かにそうだな」と「思い込みを手放す、意識を変える」ことも、プレセッション式のホロスコープを見る上で、必要なのではないかと思います。これは『ホロスコープと脳の関係から見る「心」と「行動」のメカニズム』の記事の中で書いている「認知のゆがみ」を修正する方法でもあると言えます。

占星術を研究していく中で、そして様々な方を鑑定をしていく中で、私自身の思い込みを発見することも多々ありますし、それまでの勘違いや間違いに気づくこともよくあります。その度に私はそれらを「更新」して、より正確にホロスコープを読み取れるよう、毎秒のように思い込みを手放し学習ているような感覚です。常識や当たり前だと思い込んでいる事はあまりにも広く人の頭の隅々を支配しており、それが思考や行動を強く支配しているのだということは、それらを「更新」する意識を持つことではじめて気がつくものでもあると思います。そして、そうして刷り込まれた思い込みや常識を一枚一枚はがしていくことではじめて見えてくる「本当の自分の姿、意思、目的」というものがあるのだと思います。ホロスコープは、その作業を手伝ってくれるカルテのようなものでもあると感じます。

自分の中から生まれてくる意思と目的に、自分自身でGOサインを出せない方は多くいらっしゃいます。本来その意思決定に他者からの許しは必要ないのですが、現代の社会の仕組みが、そしてその人の中に刷り込まれた思い込みが「許し」が必要なように感じさせてしまうんですね。そのため、行動に移すには勇気がいるのだと思います。ホロスコープはそんな人の背中を押してくれる「証明書」や「推薦状」のような役割もあるな、と感じますし、やはりその人自身の人生の地図でもあるんですね。

このような素晴らしいツールを古代の人々が発見したことへの尊敬の念は日々絶えませんし、ホロスコープにはまだまだ多くの可能性が秘められていると感じます。

さらに多くの人がプレセッション式のホロスコープを人生の地図として活用できるように、より詳細な解読ができるように、全ての人が自分の中から湧き出る意思と目的に従って自由に行動できるようになるよう、日々研究し、これからも地動説ならぬ、プレセッションアストロロジーを提唱していきたいと思います。

これからもプレセッションアストロロジーとLUCY.PANをよろしくお願い申し上げます。

2017/6/16  LUCY.PAN