「土星」と聞いて、あなたはどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
怖い?厳しい?暗い?
占星術界を見渡していると「土星」ほど多くの人に間違ったイメージで受け取られている天体は無いと感じます。
山羊座の支配星である土星が山羊座にある今、土星は最もストレートにその性質を発揮します。この時期に「土星」の本当の役割を理解することは、土星を味方につけるための最も早い方法と言えるでしょう。
そもそも、土星は何を担当している天体なのでしょうか?
土星は個人天体の外側、いわゆる社会天体であり、個人天体(月〜土星)の最後の砦を守っており「時間」を司っています。
「時間」とは、人間が作り出した概念です。つまり「地球で人間として生きる上での制限=1人の人間の一生の時間」を土星は担当しているのです。
人間として生まれた限り、人には誰しも寿命があります。どうやってその寿命を全うするかは千差万別ですが、ずっと生き続けることができる人間はいません。
一生の時間は限られているのです。
1人の人間として限られた寿命がある中で、一体どれだけのことができるでしょうか?
結果を言えば、それを土星が担当していることになります。
こうした「土星」の枠組みの目線から考えれば、「自分がやりたいこと、全部やらなくちゃ!」という意識になるのですよね。
タロットの大アルカナを1番から順番にサインやハウスに当てはめていくと、山羊座(10室)に「愚者」のカードがくるのも、納得なのです。
愚者は「とりあえず、やってみよー!」と進んで生きます。彼は「経験」を何より楽しむのです。それが最も自分のためになることをよく知っているからです。愚者は棒にくくりつけた小さな荷物しかもっていません。その小さな荷物は人生において重要なことはとてもシンプルであることを表しています。お金や”老い”、または人に嫌われたくないなどの恐怖にかられて動けないほどのものを抱え込んでしまうのは愚かなことであると、愚者は知っているんですね。
山羊座に太陽を持つ方や山羊座や土星が強化されている方を見るとわかりますが、彼らははじめは親や世間などが提示する「義務」に縛られていて、「自分のやりたいこと」を我慢しています。
ですが、年を重ねるごとに「愚者」のプロになっていくのです。人生の途中で「人生は1度きりだ、自分の人生の時間は限られている。やりたいことをやらなければ」ということに気づくのです。
これは山羊座や土星が強化された方に限られたことではありません。土星回帰など、様々なタイミングで人々はその事実に気づき、自分を縛り付けていた自分自身の「制限」を超えて愚者へと転身していくのです。
土星が山羊座にある今、世界中の人々にその「タイミング」が訪れている、ということです。
土星がプレセッション式でのASCやICなどのアングルにヒットしたり、太陽や月などにハードアスペクトを形成する時期が来ると、人は「今のままでいいのだろうか」と漠然とした不安を感じはじめます。その不安の原因は「本当に自分のやりたいことにエネルギーを注げていない」ことにあります。なんとなくでずっと同じ仕事を続けていたり、引っ越したいと思いながらもずっと同じ場所に住んでいたり、離婚したいと思いながらも決断できなかったり、実家を出れなかったり…「本当は変えたいけど逃げていたこと、尻込みしていたこと」に1歩を踏み出す時がやってくるのです。鑑定の依頼をいただくのは、ほとんどがこの土星によって「不安」や「覚悟の必要性」を感じている人々です。ですがそれは恐ろしいことでも厳しいことでもありません。「より自分らしく生きるための自立への1歩」なのです。
私は土星を説明する時「自立を促す天体」と表現します。
「自立」についても意味を誤って捉えている方が多い印象なのですが、働いて、そのお金で生活することだけが自立ではありません。
「自分の人生の限られた時間を全うする」=「自分が本当にやりたいことに時間とエネルギーを使う」
これが本当の意味での「自立」です。自分で考え、自分で決め、自分で実行する、ということにもなります。また、自らの行動によって”依存先を増やす”ことも自立の意味になります。1つの依存先を求めてしまう間は、まだ親の支配下にあることで安心感を得ようとする、自分の人生を生きる覚悟ができていない段階なんです。
「自分のやりたいことが分からない」「どうすればいいのか分からない」という方は鑑定でもよくいらっしゃいますが、その方々は親や世間や社会の価値観に支配されていて(例えば何歳までに結婚しなければとか、”ちゃんとした仕事”に就かなければとか、”大人らしく”しなければとか、老後のためにお金を貯めなければとか)、「本当にやりたいこと」が地層の下層に埋まってしまっているような状態なんですね。土星は「制限」をもってしてその自立を促しますが、つまりそうした支配の中にある時に自分の中に湧いてくる「自分は本当にこの仕事がしたいのだろうか?」とか「これでいいのだろうか?」という疑問を無視してはいけない、ということです。その”違和感”の先に「自立」へのヒントが隠されているからです。「でも、この仕事は条件が良いし…」とか「もう○○歳だし…」「親に○○と言われたし…」などといって自分でその制限を強化してしまう人は多いのです。
あなたの土星はあなたが「自立」していくための方法とその道のりを示しています。そのはじまりは「制限」なので苦手意識として認識されるのですが「本当にやりたいこと」をやって生きていく上では、それは苦にはなりません。「苦」よりも自分が経験によって成長しているという「やりがい」や「充実感」「達成感」が勝るからです。(もちろん、そこから逃げていては何もはじまりません。)なので、土星が示すポイントをそのまま仕事に使うと、何もかもが手っ取り早いのです。人間が人生の活動時間のうちでもっとも時間を費やすのは「仕事」だからです。そう考えると、やりがいを感じない、やりたくもない仕事を、お金のために続けるなんて時間の無駄だと感じませんか?「本当にやりたいことは仕事にできない」と思い込んでる方、今すぐにその思い込みは捨てましょう。土星は、あなたにはその才能があり、それを仕事にできるのだということを示してくれています。もし「本当にやりたいこと?南の島でずっとだらだらしていたい。」と思う方がいたら、あなたは今親や世間の価値観の枠の中でギチギチに生活していて、自分を縛り付けているためにあまりにもストレスが溜まっている状態なのです。笑 そこを飛び出せば「ずっとだらだらしている」ことがいかに退屈で”ワクワク”しないかということに気づくでしょう。
土星は「あなたの一生の時間」を司っています。その責任のすべてはあなたにあります。その自由のすべてもあなたにあります。親も、他者も、世間も関係ありませんし、その責任を負ってはくれません。それらの枠に囚われているうちに、人生の時間は刻一刻と過ぎ去っていくのです。
あなたの一生の時間を、あなたのために自由に使いましょう。
山羊座土星は、その一歩を踏み出すために背中を押してくれています。