「インナーチャイルド」とは何か?

※この記事はインナーチャイルドについて触れています。インナーチャイルドのカウンセリングにかかられている方や、家庭環境や両親に心理的トラウマをお持ちの方には精神的ショックをもたらす可能性がありますので、自己責任でお読みください。

 

「インナーチャイルド」という言葉をご存知でしょうか。
私は鑑定において、ほぼ毎回この言葉を登場させています。

ここ最近「毒親」という言葉が少しずつ認知されはじめていますが、「インナーチャイルド」とはつまり毒親という言葉を使って説明すれば
「毒親に育てられ、脳の扁桃体が萎縮してしまっている状態の人」の「扁桃体」の部分です。

こちらの記事『ホロスコープと脳の関係から見る「生きづらさ」のメカニズム』
で、ホロスコープにおける月は脳における扁桃体であると解説していますが、「インナーチャイルド」とはこの部分を指します。

 

インナーチャイルド=扁桃体

 

「インナーチャイルド」という言葉の響きから、漠然としていて、思想じみた、抽象的な…もはや”宗教的”なイメージを持っている方も少なくないようです。

「あなたの心を、抱きしめてあげて」「あなたの幼少期の自分を、抱きしめてあげて

そんなインナーチャイルドの”メンタルケア”的な印象が一人歩きして、スピリチュアルなど目に見えない抽象的なものを毛嫌いする人々から「ただの思い込みだ、まやかしだ、宗教だ」とされてしまうことは、世の中にますますインナーチャイルドが傷ついた人を生んでしまう負の連鎖にしかならず、非常に残念です。そして、そのような人たちも、実はインナーチャイルドがとても傷ついている人たちです。もっと水星(理性、知性)を使って「知ろう」としてほしいところです。

インナーチャイルドは実際に存在しています。それはあなたの脳の中の扁桃体という部分だからです
脳の扁桃体を指す言葉であると分かれば、これが「実際にあるもの」を指す言葉であることは理解していただけるかと思います。

ここで少し扁桃体について説明しておきます。
扁桃体は扁桃核とも呼ばれ「情動」「感情の処理」を司っている脳の部位です。「快・不快」の判断など、担当しているものはホロスコープの月とまるごと一致します。扁桃体は3歳頃までにその基本が形成されると言われており、扁桃体が萎縮することでうつ病などが発症する「心」を司る場所です。
※詳しくはご自身でお調べになってみてください。ネット上に多くの記事があります。

インナーチャイルドの問題は親子で受け継がれます。扁桃体が萎縮したままの親に育てられた子供もまた、扁桃体が萎縮した大人になってしまうからです。

では「扁桃体が萎縮している」とはどのような状態なのでしょうか?
それは扁桃体が「不安、恐怖、焦り、悲しみ、怒り」などの「ストレス」を受け続けている状態、ということです。
ビクビク、おどおど、イライラ、そわそわ….擬音で表せばそのような感じでしょうか。扁桃体は脳の本能的な部分、基盤を司っているため、これによって脳全体がうまく機能することができなくなってしまいます。車で言えばタイヤがパンクしてるとか、エンジンが故障しているという以前に、運転手の気が動転している、という状態ですね。これによってうつ病が発症するのはもちろん、そうでなくても以下のような状態が生まれます。

・ごめんなさい、すいません、とよく人に謝ってしまう
・いつも人に見られている気がして、人の目を気にしてしまう
・ハッキリと大きな声を出したり、自己紹介するのが苦手だ
・無意識に大きな声を出したり大きな足音を立ててしまう
・蔑む言葉を日常的に人(タレントなども)や自分に使ってしまう
・自分には才能が無いと思っている
・自分なんか、自分なんて…という思いがいつもある
・人の失敗や不幸を笑ったり喜んでしまう(それで安心してしまう)時がある
・過去の失敗や後悔にさいなまれて、落ち込んだり自分を責めたりしてしまう
・新しいことに挑戦することや変化を恐れ、なかなか行動に移せない
・人の発言の裏を読もうとしてしまい素直に受け取れない、人には必ず裏や悪意があると思ってしまう
・人に干渉しすぎたり、遠慮しすぎたりと、距離を上手く保つことができない
・NOと言うのが苦手で、ついついストレスを抱えてしまう
・考え方が極端で思い込みが激しく、なかなかそれらを書き換えることができない
・自分の欠点を省みたり、不安や悲しみや怒りなどと向き合うのが苦手
・「知ったかぶり」をしてしまう癖がある
・イライラすると物に当たったり、人に当たったりしてしまう、カッとなると抑えがきかない
・爪や甘皮を噛む、唇の皮を剥く、貧乏ゆすりや歯軋りなどの行動の癖がある
・慢性的な肩こりや腰痛、冷え性がある
・人に甘えたり弱音を吐くこと、人を頼ることが苦手
・大企業、有名大学、高級住宅街、◯◯賞などの”肩書き・ステータス”に大きな価値を感じ、それらで人を判断してしまう
・親や他者の顔色を伺ってしまい、自分が我慢してしまう
・親の「短所、嫌いなところ」を挙げることに抵抗や罪悪感を感じてしまう
・親が「良い」とするものと違う行動をとることに罪悪感を感じてしまう
・何かを決めたり実行しようとする時、親や他者の「同意」や「許し」をもらわないとなかなか決断できない
・「ありがとう」や「ごめんね」という言葉がスムーズに言えない
・恋愛やパートナーシップが上手くいかなかったり、長続きしない
・部屋が片付けられなかったり、やることを後回しにしてしまう
・食欲をコントロールできず、ダイエットが成功しない
・もう○○歳だからこうしなくちゃ、○○歳はこうあるべきだ、という考えがある
・パワハラ、モラハラなどに遭いやすい

できるだけ多くの例を挙げてみましたが、これらはほんの一例にすぎません。
これらは「インナーチャイルドが傷ついている人」つまり「扁桃体が萎縮している人」の特徴です。1つでも当てはまれば大なり小なりインナーチャイルドの傷を抱えている、と言うことができるでしょう。
なんとなく、共通点が見えてきますね。それは

「自分を抑えて(我慢して)いる」「自分を否定している」「自分をジャッジしている」

ということです。この「自分」の部分はそのまま「他者」にも置き換えることもできます。
他者は自己の内面を投影する鏡だからです。またこれらの傾向は自己肯定感が欠如している状態、と言えます。

 

「インナーチャイルドを癒す」=「萎縮している自分の扁桃体を治癒する」

これは、ホロスコープで言えば、水星(理性/知性)を使って月(扁桃体/感情)を客観・分析し、治癒する、ということになります。

 

なぜ、扁桃体は萎縮してしまっているのでしょうか?

なぜ、萎縮したまま大人になってしまうのでしょうか?

 

その鍵を「幼少期」と「家庭環境」と「両親」が握っています。

扁桃体が幼少期(主に3歳まで)に形成される部位であることを思い出していただければ納得できるかと思います。

結論から言うと、インナーチャイルドの傷を持った人の親もまた、インナーチャイルドの傷を持っています。多くの場合、そのまた親も同様です。
扁桃体が萎縮したままの親は、扁桃体をリラックスさせる方法を知らないので、子供に「扁桃体を緊張させる方法」しか教えることができないからです。
これは極端な言い方で、その傾向はグラデーションですが、扁桃体をリラックスさせることができる親から、扁桃体がずっと緊張した子供が生まれ育つことはない、ということです。
ホロスコープは遺伝するので、プレセッション式でホロスコープを見ればその傾向はすぐに読み取れます。親の扁桃体の状態が、そのままその人の扁桃体の状態として受け継がれているからです。(専門的に言うと、月、ASC、ASCの支配星、1室、4室、10室などを見ます。)

さて、あなたの幼少期、あなたの親はどんな言動をしていたでしょうか。冷静に、客観的に思い出してみてください。

・気分や感情にまかせて怒るため、子供やパートナーにいつも機嫌を伺わせていた
・人の悪口や陰口、嫌味を言っていた
・子供部屋を勝手に片付けたりなど、プライバシーを侵害していた
・もっと背が高ければ良かったのにね、もっと鼻が高ければよかったのにね、もっと足が速ければよかったのにね、などコンプレックスを植え付けた
・どうせ◯◯だから、どうせ◯◯でしょ、きっと◯◯だから…など決めつけや推測での物言いをした
・テレビを見ながら文句をつけたり、他人をバカ、デブ、ブス、などとののしっていた
・子供に向かってバカ、デブ、ブス、などとののしっていた
・いつも人目を気にしていた
・いつも自分より他人を優先していた
・心配性で過保護だった
・せっかく◯◯してあげたのに、などと子供に罪悪感を植え付けた
・怒ると無口になって無視したり、物に当たったり、感情的になり怒鳴り散らしたり、「冷静に言葉で説明する」という理性が無かった
・子供が泣いた時、こんなことで泣くんじゃない、と否定した。また親自身も泣くことがなかった
・テストで良い点数がとれなかったり、運動会などで順位が下だった時、怒ったり、「あーあ」と言うなど、子供の頑張りを無下にした(結果至上主義)
・もっとこうしなさい、貸してごらんなさい、何もできないんだから、と言って子供から自主性を奪った
・成績が良いこと、何をしても1番であること、良い大学に入り大企業に勤めること、などのステータスに偏った価値観を子供に植え付けた
・あなたは天才だね、何でもできるね、頭が良いね、何でも似合うね、と盲目的に贔屓した
・誰が学費を出してるんだ、誰のおかげで生活できてるんだ、と経済面で支配しようとした
・子供の前で他の家族(兄弟やパートナーや親戚)の悪口を言っていた
・うちは幸せな家庭だ、お前たちは幸せだ、など本来子供にあるはずの判断を一方的に押し付けた
・子供に子供であることを押し付け、大人の世界から遮断した(お金や性に関する事などに対する抑圧、自立の阻害)
・◯◯しないと◯◯に連れて行かないよ、◯◯しないとご飯にしないよ、と条件付けしで支配した
・他者が子供を褒めた時、そんなことないんですよ、うちの子なんか、ダメな子で、などと否定した
・この子にはまだ早いですから、この子にはできっこないですから、と先回りして可能性を否定した
・子供の意見が親の価値観と合わない時、子供を否定したり馬鹿にした
・○○すべき、○○しなさい、○○しろ、など価値観を押し付け命令した
・親が子供のように振る舞い(感情的になる、ワガママを言う、だだをこねるなど)、子供が親のような役割をしなければならなかった
・「してはいけないこと」などの条件が不安定で、親の気分(感情)によっていつも違うことを言われた
・親の言動によって子供が傷ついても、謝らなかった
・親が子供に対して「ありがとう」が言えなかった
・なにかにつけて子供のせいにし、「自分は悪くない」という態度を変えなかった
・怒りや悲しみなどの感情によって(自分が怒鳴ったり泣いたりすることで)子供の感情をコントロールした

これらはほんの一例にすぎません。
しかし、やはり共通点が見えてきます。それは

「子供を抑えて(我慢させて)いる」「子供を否定している」「子供をジャッジしている」

ということです。そうです、先ほどの「扁桃体が萎縮している人」の共通点と一致します

 

 

インナーチャイルドを癒す、つまり扁桃体をリラックスさせるためには

「事実の認識」

が何よりも大切です。

親の言動によって自分が傷ついた、不快な思いをした、という「自分が感じた事実」をまず認識することが大切です。

ですが、インナーチャイルドが傷ついている方はそれらの「事実」に「でも、ここまで育ててもらったから」「生活費や学費を出してもらっているから」「親は私より立派な人だから」「私は幸せな家庭で育った(と思いたいという願望)」「これは私のワガママだから」「私より不幸な人はいっぱいいるから」などといった正当化フィルターをかぶせてしまって「事実が見えない状態」に自らしてしまっているんです。

そのフィルターは「見捨てられ不安」によって作られています。

子供は、親(大人)の保護下でしか生きていくことができません。日本では義務教育の過程を終えるまでのほとんど全ての子供がそうです。
つまり、親に捨てられてしまったら生きていけないのです。子供は本能でそのことをよく分かっているので(この本能を司っているのが扁桃体です)、親に見捨てられないように「防衛手段」を身につけます。親が前述のような方法で子供を否定したり、抑えつけたり、ジャッジしたりと、支配やコントロールとしている場合でも、子供はそれに順応することで親に見捨てられないよう自己防衛します。これが「見捨てられ不安」です。

「扁桃体が萎縮している状態」は、この見捨てられ不安による防衛手段によって引き起こされる”ストレス”状態なのです。

大人になり、親の保護下でなくても生きていける年齢になれば、この防衛手段は「必要ないもの」になるのですが、それに気づかずずっと「防衛」したまま大人を過ごしている方が「インナーチャイルドの傷=扁桃体の萎縮=生きづらさ」を抱えている、ということです。

大人になると、人は親の保護下でなくても生きていけます。当たり前のことです。自分で仕事をして、お金を稼ぎ、自由に生活していけるからです。
大人になった人は、もう親に見捨てられても生きていけるので、「防衛」する必要はないのです。

大人になっても未だに「見捨てられ不安」に縛られている人は、本当にたくさんいます。

インナーチャイルドの傷、つまり扁桃体の萎縮を治癒していくためには、まだ親元にいる方にとってはまずは親元を離れることも効果的です。
それができない状況の方は、ご自身の「水星」を使い、上記のように「自分が幼少期に親に対して感じた感情の事実」を認識する作業をすること、理性をもって「自分はもう見捨てられ不安に怯える必要はない」と「防衛状態」を解除していくことがそのステップになるでしょう。ご自身の「水星」の使い方が分からない方は、水星のお手伝いのプロ、カウンセラーの方に頼ってください。水星は基本的に「調べること」「コミュニケーション」「知ろうとすること」「感情での判断ではなく理性で客観的に認識すること」を仕事としている天体です。知ることを恐れないでください。

インナーチャイルド=扁桃体の仕組み、少しはご理解いただけたでしょうか。
この問題については、個々の実例を挙げなければなかなか本人が実感できないことなので、説明が難しいのですが、これは実は元をたどれば個人だけの問題ではありません。その背景には時代の影響が横たわっています。

 

インナーチャイルドの傷が生まれる背景

インナーチャイルドの傷について、私はここ数年多くの鑑定をしてきた中で、親の親、そのまた親…と遡った時、いったいどこからその傷がはじまっているのか、という部分に注目しました。

そこで確実な原因として見えてきたのが「戦争」です。私はここで戦争について、政治的、思想的なことを語るつもりはありません。ここで言いたいのは戦争がもたらす「個人」への心理的影響についてです。
戦争、といってもここで取り上げるのはWW2、第二次世界大戦です。冥王星は第二次世界大戦が勃発する直前に発見されましたが、冥王星の性質はそのままWW2がもたらしたものを象徴していると断言できます。それは人間の人生1代ではとうてい清算できない様々な意味での「搾取」です。
WW2後の文化や経済の流れ(出版物や音楽など)を見ていれば、それらが人々の心理にどのような影響を与えたかは一目瞭然です。
戦争によって「個人」から何が「搾取」されるでしょうか。人生の貴重な時間、大切な人の命、家、お金、食べ物、健康な身体、健康な精神…個人差はあれど、信じられないほど多くのものが搾取されます。戦争によって「自分の思うままに、やりたいことをやって生きる時間」を奪われた人が大多数であるのは間違いないことです。それらは「2度と取り戻せない」のです。そして戦中から戦後の復興にかけて「正しいこと」は1つに統一され、高度経済成長で1つのゴールに向かって人々は走り続けました。

この流れが「個人の、それぞれの生き方」を否定する流れであることはお分かりいただけるかと思います。

多くの人のホロスコープを見ればわかることですが「生き方」は千差万別です。それぞれの人が、それぞれに才能があり、それぞれに「やりたいこと」があって個性を持って生まれてきています。そしてそれを実行するために生まれてきています。それを統一することは「個人の否定」になります。

つまり、WW2から戦後、高度経済成長にかけて生きた人の多くは、「個人」を否定され「搾取」され続けた人たちなのです。
つまり、「自己否定」の苦しみを抱えている人たちなのです。そして時にはそれを必死で正当化しようと躍起になっている人たちでもあるのです。もちろん、インナーチャイルドの傷の根本的原因はWW2だけではなく多岐に渡るものですが、日本の現代社会をよく観察すればその多くの原因がそこにあることが分かります。

もっと自由に生きたかった、自分のやりたいことをして生きたかった、ありのままの自分を受け入れてもらいたかった。その心理は、皮肉なことに、「自由に生きてはいけない、義務を果たさなければいけない、我慢しなければいけない、人生には正解と不正解がある、失敗したら後はない」という反転したメッセージとしてその人たちの子供世代のホロスコープに、その孫世代のホロスコープにもそのまま反映されています。もちろん、その傾向は様々グラデーションです。
冥王星によって発生したWW2による「搾取」は、こうして何代にも渡って人々のインナーチャイルドを縛り付け、時には呪いのように人々を苦しめ、自由に生きるための課題を与えているのです。汚れた川がすぐには綺麗にならないのと同じで、時間はかかりますが、それぞれ個人の意思によってこれらの連鎖は断ち切って行くことができます。

さて、こうした視点から見ることによって、「インナーチャイルド=扁桃体の萎縮」の問題が、時代背景の影響も多分に受けていることがお分かりいただけたかと思います。

インナーチャイルドの問題、家族の問題は、その範囲にとどまる問題ではありません。そういった視点も手に入れることで、より冷静に、客観的に家庭や両親を分析することができるようになるでしょう。

 

 

土星が山羊座入りした現在、多くの人に「自立」のチャンスが訪れています。

「自立」とは、そもそも親の保護下でなくても生きていけることです。自分で考え、自分で計画し、自分で実行し、自分で責任を取ることです。そして、自分の強さと弱さ、出来ることと出来ないことを行動と経験によって知ることです。
一人の大人、人間として、自由に生きる権利は誰にでもあります。親や、パートナーや、恋人や、子供や、友達、他者を助けたり変えたりしようとする前に、自分が「自立」して変わっていくことがインナーチャイルドを癒す、「生きやすくなる」ための唯一の方法です。

山羊座土星は、自立を促すことで、多くの人の「見捨てられ不安からの脱却=インナーチャイルドの治癒」を手伝ってくれるでしょう。